■ はじめに
私たちの体には、生まれた瞬間から「異物を見分けて排除する仕組み=免疫」が備わっています。風邪ウイルスや細菌など、毎日のように侵入してくる病原体を退治してくれる、生命維持に欠かせないシステムです。
しかし、この頼もしい免疫システムは、ときに私たち自身の体に向かって働いてしまうことがあります。
たとえば、
- 花粉症などのアレルギー反応
- 自己免疫疾患(リウマチ、1型糖尿病など)
これらも実は「免疫の働きすぎ」が原因となって起こる病気です。
この記事では、免疫の“良い働き”と“困った働き”を、できるだけやさしく説明します。
■ 免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」の2段階がある
私たちの免疫は、大きく分けて次の 2 段階で働きます。
① 自然免疫(すぐに反応する初期防御)
ウイルスや細菌が体に入ると、まず最前線で働くのが自然免疫です。
特徴は以下の通りです。
- 侵入直後からすぐに働く
- 病原体の種類を厳密に区別しない(ざっくり敵と判断する)
- まず“時間をかせぐ”ための応急処置的な防御
つまり、自然免疫は「とりあえず暴れまわる敵を押さえ込む番兵」のような役割です。
② 獲得免疫(時間をかけて育つ、強力で特異的な免疫)
自然免疫が働いている間に、体は病原体の情報を学習して、ピッタリ合う武器(抗体)や、特異的に攻撃するリンパ球を作り出します。
特徴は以下の通りです。
- 立ち上がりには数日〜1週間ほどかかる
- 病原体の種類ごとに「特異的」に反応
- いったん作られると長期間記憶される(免疫記憶)
これにより、同じ病原体が再び侵入してきても、すばやく撃退できるようになります。ワクチン接種が効果を持つのは、この「獲得免疫の記憶」を人工的に作るためです。
■ 免疫の“裏目”──アレルギー反応はなぜ起きる?
免疫システムは本来、ウイルスや細菌のような危険な異物だけを攻撃するものです。しかし、一部の人では花粉、ハウスダスト、食物など本来は無害の物質が「敵」として認識されることがあります。
これがアレルギーの正体です。
- アレルゲン(花粉・ダニ・食物タンパクなど)に繰り返し触れる
- 免疫が過剰に反応
- くしゃみ、鼻水、かゆみなどが起こる
免疫細胞や抗体(IgE など)が関与し、体が必要以上に反応してしまうことで症状が強くなるという仕組みです。
■ まとめ
免疫システムは、私たちを守るために非常に精巧に作られた強力な防御機構です。しかしその一方で、アレルギーや自己免疫疾患のように、免疫の“働きすぎ”が不利益を生むことがあります。
- 自然免疫は「はじめの盾」
- 獲得免疫は「学習して強くなる剣」
- 免疫の暴走はアレルギー・自己免疫疾患を引き起こす
免疫のプラス面とマイナス面を理解することは、病気の予防や治療を考える上で非常に役立ちます。


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